自己流ベビーサインのススメ


チャイナガール
1月 29, 2008, 10:56 pm
Filed under: アメリカの育児

ここの所めっきり寒くなって、夜は氷点下になる事はもちろん、昼間でも温度計が摂氏0度のあたりをさしている事が多くなりました。5度くらいになると暖かく感じられ、幾重にも重ね着をしてちょっと無理をしてでも息子と公園に行くのですが、週末も2度ぐらいまでしか上がらなかったので、さすがに外で遊ぶのはあきらめて、歩いていけるところにある考古学博物館へ行きました。

ここでは週末に子供用のイベントがよく行われていて、この日もChinese New Year(旧正月)フェスティバルと称して、太極拳や習字のデモンストレーション、中国の踊りや音楽のミニコンサートが至る所で行われていました。私たちが着いた時にちょうど踊りのリサイタルが始まるところだったので、内容はよくわからないままもとりあえず行ってみる事にしました。

席を確保して周りを見回すと、カラフルなチャイナドレスを着た赤ちゃんや女の子達であふれていて、アジア系(ハーフですけど)の男の子は私の息子ぐらいしか見あたりません。すぐに独特の中国の音楽が流れ始め、3歳から10歳くらいの女の子達20人ぐらいが小さな太鼓を胸から下げて出てきました。たどたどしくも可愛らしい踊りの後に、私の息子と同じくらいの年齢の女の子を抱いた白人の女性が舞台に現れて、踊りの説明を始めました。それによると今出てきた女の子達は皆中国から養女としてアメリカに渡ってきたとの事でした。

観客席にいる女の子達も皆同じで、小さい時に海を越えてアメリカにやってきたのでしょう。ご存知の様にアメリカでは養子縁組が多く行われています。マドンナやアンジェリーナ ジョリーのように海外から違う民族の養子をもらう事もまれではありません。私の友人や夫の家族にも南米から養子をもらったり、ずっと前に養子として家族になっている人が少なからずいますし、別にそれを隠す事もありません。どちらかと言うと、小さい頃から養子としてもらわれてきたという事実を教えておく方が主流のようです。

ニュースで年間中国から養子としてアメリカにもらわれてくる女の赤ちゃんが6〜7千人と聞いた事がありましたが、今まで数を聞いただけでは漠然としていたものが、実際に多数の子供達を見た事によって、正直言ってその事実に圧倒されました。もちろん中国の孤児院から望まれてもらわれてきて、幸せに暮らしている女の子達です。皆活発で、完璧な英語を話し、ホットドッグをほうばって、全くアメリカの子供達と変わりません。

私の胸を突いたのは、この女の子達と同じ数の母親が中国のどこかにいて、貧困や制度のせいでこの赤ちゃん達を手放さなければならなかったという事実です。自分が母親になってから人の痛みが以前よりずっと身にしみて感じられる様になり、特に幼い子供や母親がつらい思いをしているのを聞くとひどく胸が痛みます。昔私の母が残留孤児のニュースを見て涙していた事がありましたが、当時は、どうして他人に起こった事なのにそんなに感情移入できるのだろうと思っていました。いま自分が母親になってようやくあの時の母の涙が理解できる様になり、この日は中国にいる母親達の事を想って思わす涙しました。

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パブロフのカバ
1月 28, 2008, 2:54 pm
Filed under: ベビーサイン

同じ年頃の子供をもつお母さんに「K君(私の息子)は、いったいつ泣くの?」と聞かれる事があります。そうわれてみると他の子と比べて泣く回数は格段に少なく、一日全く泣かない日もあるくらいです。もともと温和な性格で、他の子にあそんでいたおもちゃを取らそうになると、あっさり渡してしまうような子なので、争って泣かされるということがないこともあるでしょうが、ベビーサインのおかげで私たちが息子の基本的は要求をほとんど理解できるからだと自負しています。

残念ながら、ひとつだけどうしてもこれをすると必ず泣く、ということがありました。それは「歯磨き」です。ベビーサインを教えはじめた頃すぐに自分で「歯ブラシ」のサインをつくって、(人差し指で下の前歯をさわる)わたしが歯ブラシをする時には、自分もまねをして子供歯ブラシを口に入れてもぐもぐさせていましたが、私が仕上げ磨きをしようとすると、驚いて夫がバスルームに飛んでくるくらい大きな声を出して泣きました。

アメリカには国民保険という物が無く、企業に勤めていない私の家族は個人で保険に入っていて、その出費は毎月千ドルぐらいになり、正直言ってかなりの負担です。そんなに払っても歯科保険はまた別口なので、歯の健康には経済的な意味でも気を使わなければいけないのです。

そして毎晩、お風呂の後に格闘がつづいていましたが、ほんの何日か前偶然「カバ」をテレビで見たのが運のつきでした。相当強烈だったのでしょう、ただ単に思いっきり大きく口を開ける、という「カバ」のサインを教えるとその場ですぐに覚えました。そしておととい、これがなんと歯磨きをする時に役に立つ事を発見したのです。

お風呂の後に、ああ今日も格闘だと思いながら息子の歯ブラシを手に取り、口にもっていった時に何気なく「さあ、カバさんはどこかなあ?」といったら、何とも大人しく口を開けるではないですか! その後も何度か「カバさんは?」と言うと、どうしても条件反射で口を開けずにはいられなくなるらしく、どう見ても歯磨き自体を楽しんでいる様子は無いものの、結局きれいにはえ揃った歯全部を、私が磨き終わるまでで大きく口を開けていました。これは意外なベビーサインの効用でした。

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大事な大事な人差し指
1月 26, 2008, 6:01 pm
Filed under: ベビーサイン

アメリカで赤ちゃんのいる友人にベビーサインを使っている事を話すと、だいたい「うちの子は、「もっと」のサインだけはできるわよ。」と言われる事が多いです。すべての指先をちょんちょんとあわせるという確かにとても簡単だし何かと重宝するサインです。

食事の時には「(おいしいから)もっとちょうだい」、公園で遊んでいる時には「もっと遊んでいたい(帰りたくない)」、お風呂の時には「もっと浸かっていたい(まだ出たくない)」、大好きはDr. Seussの本を「もう一回読んで」、コンピューター を指しながら同じ曲を 「もう一回かけて」、(ちなみに息子はFeistの1234ーipodのコマーシャルで使われていた曲ーに合わせて踊るのが何よりも好きで、何度かけろと催促された事か…), 等、利用頻度が他のサインに比べると圧倒的に高いサインです。

うちの息子は「もう一方」という意味に使う場合もあり、靴が片方脱げてしまった時に私が気がつかないと、「靴」のサインの後に「もっと」つまり「もう一方の靴(が無い)」という風に知らせてくれた事も一度ならずありました。

本当に良く使うこのサインですが、うちの息子のサインははすべての指先をあわせるのではなく、右と左の人差し指のみをちょんちょんとあわせるという、スピルバーグのE.T.のような動きです。確かにすべての指先をあわせるという動きを教えたはずなのですが、なぜか彼は動きとしてはより難しいであろうはずの指先一本のみをあわせるという風にアレンジしてしまいました。

この動きはアメリカン サイン ラングエッジ(アメリカの手話、以下A.S.L.)では「痛い」にあたるので、A.S.L.にそってベビーサインを教えている人には、何がそんなに痛いのだろうと思われてしまうかもしれませんね。

考えてみると、本当は他の指を使う様に教えたのに、結局人差し指を使う様にアレンジしてしまったサインがいくつかある事に気がつきました。まずは、「お父さん(ダディ)」親指で額をつつくサインのはずだったのですが、どうやら本人は人差し指のほうがやりやすいと判断したらしく、大好きなダディが視界から離れるたびに、人差し指で音がするのではないかと思うくらい思いっきり自分の額をつつきます。(ちなみにこれはアメリカのボディラングエッジでは、「ちょっとおつむの弱い人」を指すので夫はいつも苦笑いしています。)

「フォーク」のサインは右手の人差し指と中指二本で左手のひらをすくう様にしていたはずだったのが、いつの間にか人差し指一本になっていましたし、「飛行機」をさすサイン、親指と小指をのばしてブーンと顔の前を飛ばすのも人差し指一本に簡略されてしまいました。

この大事な大事な人差し指ですが、ダディが爪を切ってあげようとして誤ってざっくり右手の人差し指の先を切ってしまった事がありました。もちろん血は噴き出すし、痛くて大泣きするし、夫の方も息子を傷つけてしまったショックであたふたするし、大混乱でした。その後三日程バンドエイドを付けた指の先が痛んだのでしょう、「もっと」のサインが必要になるたびに、ほんのちょっと指先同士が触れるか触れないかぐらい気をつけてサインを出す息子がとっても痛々しかったです。

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自己流ベビーサインの教え方 其の一
1月 25, 2008, 5:19 am
Filed under: ベビーサイン

どこでベビーサインを習ったの?とよく聞かれます。私は妊娠中にベビーサインの王道 Linda P. Acredolo とSusan Goodman共著のBaby Signs : How to Talk with Your Baby Before Your Baby Can Talk を読みましたが、実際に息子を相手にベビーサインを初めてからはほとんど自己流です。

以前、英語と日本語を教えた経験から、新しい単語を導入する時にはひとつ以上のレファレンスを提供すると比較的覚えが良い事に気がつきました。外国語を勉強した事がある方ならどなたでもご存知でしょうが、文章や実際のシチュエーションから離れて、「さあ、明日までにこの単語10個覚えましょう。」と言われてもなかなか難しいですよね。

これは理想的なシチュエーションですが、例えば、リンゴをおいしそうに食べていたら、リンゴのサインを見せながら「これはリンゴよ。」と言い、皮をむく前の丸のままのリンゴを見せます。(皮のむかれたリンゴの絵というのはあまり無いので、後で分かりやすい様に)そしてそれに触らせて、においを嗅がせ、それからすぐ後で絵のリンゴをみせます。そうすると味覚、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、すべてに訴えられ、本当のリンゴと絵のリンゴが同じだという事を理解できますよね。

ここですぐリンゴのサインを子供が返してくれればこんなに簡単な事はありませんが、ここではまだ、「あの手の動きもどうやら関係があるらしい。」と思い始めます。あとは、いつもの生活のなかでリンゴを見つけたら、「ほら、あれもリンゴだよ。」とサインをみせつづけます。

例えば、 折り込みチラシにリンゴの安売りがでていた時とか、 テレビの料理番組にリンゴがでてきた時とか、勉強机に使っているリンゴ箱に絵がついていた時とか(そんなのもう誰も使ってませんって!)、隣に座っていた人がアップルのコンピューターを使っていた時とか、もちろんスーパーでピカピカに磨かれて山盛りになっているリンゴを見かけた時とか、そうすると、意外な時に子供の方から「ほら、これもリンゴでしょ。」という風にサインを返してくれる様になりますよ。

これは、何度も経験した事ですが、サインを見せている時にサイン自体に興味を示しているようにみえなくても、ずっと後で急にそのサインを使いだしたり、サインを出している私の方が、「ちょっとこれは複雑だし、あんまり使わないから覚えるのはむりかなあ。」と思いながら半信半疑で見せたサインでも意外にすぐおぼえたりするので、子供というのは本当に子供扱いができない物だなあと思います。

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思い出の初ベビーサイン
1月 23, 2008, 11:55 pm
Filed under: ベビーサイン

初めて息子がベビーサインを見せてくれたのは、去年の8月の末。夏の間日本に3ヶ月程滞在した後アメリカに戻ってきて、つらい時差ぼけもなんとか乗り切った頃だったと思います。友人の結婚20周年記念サプライズパーティーがあって、無事お決まりの ”サプラ〜イズ!” をすませた後、おなかがすいてきたらしい息子に何か食べられそうな物はないかテーブルの上を物色していた時に見つけたのが(まあ何とアメリカらしい)ピザでした。

1歳2ヶ月の赤ちゃんにピザ?と思われるかもしれませんが、この頃ちょうど歯がかゆくなってきた時期だったので、イタリア系アメリカ人の義母はせっせとイタリアンブレッド(フランスパンよりも固くて、なかがぎゅっと詰まっているものーこれに慣れるとバゲットには物足りなくなるんです)のそれもいちばん固い皮の部分だけをはがためとして与えていたので、ピザの耳の部分は最適だと思われたのです。

空腹に物珍しさも手伝って、おとなしく耳をかじっていた息子が、その時おもむろに右手の人差し指でほっぺたをちょんちょんとつつくではないですか!一瞬見まがえたかと思いましたが、すぐその後にまたちょんちょん。それはまさに、「おいしい」のサイン! それまで一ヶ月程のあいだ、全く一方通行にサインを教えるばっかりだった私は大興奮。普段は人見知りしてパーティは苦手な私が、目の会ったすべてのひとに、「今、初めてベビーサインしてくれたの!」と報告しまくってしまいました。

もちろん、その場にいた人の何人がベビーサインそのものを知っていたかというと、残念ながらたぶんほとんどの人が知らなかったと思いますが、皆ニコニコと「あ〜それはよかったね〜。」と答えてくれました。アメリカ人のこういうところって好きです。

後で思えばその後「おいしい」を連発する息子にピザを食べさせ過ぎたような気もしますが、あの時の興奮はちょっと忘れられません。初めて紛れもなくお互いの気持ちが通じた瞬間でした。

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バイリンガル教育とベビーサインの効用
1月 21, 2008, 3:17 am
Filed under: バイリンガル, ベビーサイン

私の家族は幸か不幸か現在英語圏に住んでいるのと、私の夫は英語を母国語として日本語を解さないため、「なんてラッキー、子供は自然とバイリンガルに育つのだろう」と思われる方もいるでしょう。でも外国に住みながら日本人としてのアイデンティティーを持ち、そのうえ日本語の読み書きができる子供を育てるには、どうやら相当な覚悟と努力が必要なようです。

バイリンガル教育の方法はいろいろあるようですが、我が家では基本的に「一親一言語」という立場を取っています。つまり息子に対して私は日本語のみで話し、夫は英語で話すという方法です。ベビーサインも同様にして私は日本語のことばを言いながら見せて、夫は英語の単語を言いながら使っています。そうすることで同じ意味の物でもふたとうりの言い方があるということを自然に覚えていきました。

これは日本語を解さない義理の母と叔母にとっても感謝され、彼女達もすっかりベビーサイン信奉者になってしまいました。今ではあかちゃんを連れたお母さんを見るたびに、ベビーサインの効用を説いて回っています。

逆に私が夫の家族に感謝した例もたくさんあります。ご存知のように西洋人はジェスチャーをたくさん使いますよね。肩をすくめたり、ウィンクをしたり、ちょっとなれない日本人にはぎょうぎょうしいとうつることもあります。でも、そんな彼らにとっては自然なジェスチャーを私の息子はベビーサインとして使いだしたのです。

人差し指を顔の前に出すサインは「ちょっと待ってて / One moment」その手を左右に振ると「ダメ! / No!」のサイン。彼らも自分たちで気がつかないうちにベビーサインをしていたんですね。これにはとても嬉しくなりました。またこういう習慣がアメリカでベビーサインが発達した理由なのでしょうね。

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なぜ自己流?
1月 21, 2008, 1:48 am
Filed under: ベビーサイン

言葉と同じで、方言やなまりがあるのはあたりまえと思い、本に載っているサインを忠実にさせようと一生懸命になるより、こどもの顔を見ながら私が見せたサインをどうやってアレンジして、自分のものにしていくかを優先してきました。

そのおかげかどうかは分かりませんが、今では自分でサインをつくって見せて私を驚かせる程になりました。そして、1歳5ヶ月になった今、サインは私と息子にだけではなく、私の夫や定期的に面倒を見てくれる義理の家族にとってもなくてはならないものになっています。

赤ちゃんの一生から見れば、ベビーサインを使うのは本当に短い一時のものです。面倒を見てくれる人達に共通に意味が伝われば、他の人が分からなくたって、他の子と違ったって全く問題ありません。それどころか、オリジナルのサインの方が特別な気がしませんか。

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